米国などで公開されたハリウッド版特撮怪獣映画「GODZILLA(ゴジラ)」の“想定外”の大ヒットを受け、早くも続編の製作が決定的となった。今作を手がけた米映画会社のレジェンダリー・ピクチャーズが明らかにした。別の映画会社が1998年に公開したハリウッド版第1弾で悪評にまみれたゴジラを復活させるという大冒険に出たレジェンダリーは窮地を救われた。大抜擢(ばってき)で起用された無名の新人監督も米ディズニーが制作する話題作でメガホンを取ることが決定。米映画界でゴジラが大活躍している。
■ワーナーとの協力継続
レジェンダリーのジョン・ジャシュニ社長は、ハリウッド業界紙のバラエティーや芸能ニュースサイトのデッドライン・ドットコムの取材に対し、配給を担当した大手の米ワーナー・ブラザーズと続編製作の計画を進めていることを認めた。
ジャシュニ社長は「98年にリメークされた作品が激しく非難されていたので、製作陣はさまざまな障害に直面したが、公開初週の数字にはとても満足している」と大喜びだ。
16日に米国などで公開されたゴジラは、その週末の推定世界興行収入が約1億9620万ドル(約200億円)に達し、北米でも9320万ドルを稼ぎ出して、いずれもトップを獲得した。北米で今年公開された映画の中でも、2位という好成績だ。
レジェンダリーは2000年に設立された新興会社で、05年からワーナーのパートナーとして「バットマン」シリーズなどを共同で製作してきた。しかし、独自に製作を手がけたいとの野心を抱き、関係が悪化。13年にワーナーとの提携を解消し決別した。
ゴジラは共同製作の最後の作品で、レジェンダリーが製作費1億6000万ドルのうち75%を拠出し、ワーナーが残りの資金と配給を担当した。ただ、ヒットを記録し続編を製作する場合は、共同で出資する契約になっており、ゴジラに限り協力関係を継続することになった。
■無名新人監督も大出世
レジェンダリーはゴジラの製作で2つの冒険をした。1998年の第1弾は日本のゴジラとは似ても似つかない“トカゲの怪物”にファンはがっかりし、興行的にも失敗。だが、レジェンダリーは誰もリメークしようとは思わず、16年もの眠りに入っていたゴジラの復活を決断した。
しかも、その監督を、唯一の長編作品が製作費わずか50万ドルの「モンスターズ 地球外生命体」という、無名の英国人、ギャレス・エドワーズ氏=写真=に任せた。
無謀な賭けにも思われたが、ゴジラの大ファンというエドワーズ監督は、3D作品でありながら、1954年に日本で誕生した背中に“チャック”の付いた着ぐるみ時代のオリジナルに忠実なゴジラを登場させ、世界中のファンから支持された。
ワーナーと決別したばかりのレジェンダリーにとって、ゴジラがこけていれば、いきなり窮地に陥りかねず、ジャシュニ社長も「これほど好調なスタートが切れてよかった」と胸をなで下ろしている。さらにエドワーズ監督は、ディズニーが手がけることになった人気SF映画「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ(派生)作品で監督を務めることが決まった。
関係者に多大な恩恵をもたらしたゴジラは7月25日に日本で公開され、“凱旋(がいせん)上陸”する。