2016年の次期米大統領選の共和党候補に関する世論調査で、ジョージ・ブッシュ前大統領(67)=写真(上)=の弟、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(61)が首位に躍り出た。ブッシュ氏自身はまだ出馬宣言はしていないが、「今年末までに決断する」としており、意欲は十分。ただ、仮にブッシュ氏が大統領になれば、父親のジョージ・H・W・ブッシュ元大統領(89)を含めて30年足らずの間に3人の大統領をブッシュ家が輩出することになる。別の調査では有権者の7割が「3代目はもうたくさん」とばかりに違和感を抱いており、母親のバーバラさん(88)も「出馬すべきではない」と主張している。
■共和党候補で同率首位
世論調査は米紙ワシントン・ポストとABCテレビが合同で実施し、先週末に発表したもので、ブッシュ氏は「共和党の大統領候補にふさわしい人物」として支持率がランド・ポール上院議員(51)=写真(中)=と同率首位の14%。マイク・ハッカビー前アーカンソー州知事(58)が13%、ポール・ライアン下院予算委員長(44)が11%、クリス・クリスティー・ニュージャージー州知事(51)が10%で続いた。
混戦模様で、ワシントン・ポストは「近年では最も予測しにくい戦い」と論評した。ただ、ブッシュ氏は党内穏健派の支持が厚く、民主党で圧倒的な支持率を保つヒラリー・クリントン前国務長官(66)=写真(下)=に対抗できる候補として、共和党主流派の間で出馬への期待が日に日に高まっている。兄のブッシュ前大統領も1日放映のCNNテレビのインタビューで「ジェブは出馬してほしい。きっと立派な大統領になる。アドバイスが必要なら電話してくれ」と弟に呼び掛けた。
■ヒラリー氏と差
しかし、有権者の意識は共和党主流派とは異なる。別の米紙ウォールストリートジャーナルとNBCテレビの合同世論調査によると、支持政党に関係なく有権者全体でブッシュ氏を「肯定的に評価」する人は21%にすぎず、「否定的に評価」する人が32%、「どちらでもない」が32%、「わからない」が15%だった。一方、クリントン氏の場合だと、「肯定的」が48%、「否定的」が32%、「どちらでもない」が19%、「わからない」が1%という結果が出た。
有権者の好感度ではブッシュ氏はクリントン氏にかなり差をつけられており、クリントン、ブッシュ両氏が大統領選で戦うと想定した場合の支持率も、クリントン氏が53%、ブッシュ氏が41%で12ポイントの差がついた。
有権者は「ブッシュ」という名に飽きを感じているようで、その真意は母親のバーバラさんが代弁している。バーバラさんはここ数カ月に複数のテレビインタビューに答え、「ジェブが立候補する姿など本当に見たくない」「偉大な国家である米国で、大統領への立候補者が限られた2~3家族の出身者以外から見出せないとしたら、愚かしいことだ」などと語った。
世論調査では、このバーバラ発言に対する有権者の考えも問うており、69%が「同意」すると答えた。この点についてはブッシュ氏も自らの講演会で「確かに母が言ったことは正論であり、私にとってブッシュという名はもろ刃の剣だ。もし、共和党の大統領候補になれるとしても、クリントン氏と戦う前にまず家名と戦い、ブッシュを乗り越えなくてはならない」と話している。
3代目のブッシュ氏にとって、ホワイトハウスへの道のりは、父や兄が通ったものより遥かに険しいものとなりそうだ。