韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)は4月29日の閣議で、旅客船「セウォル号」の沈没事故をめぐり事前の防止策や発生直後の救助などに不手際があったとして、「多くの貴い命が犠牲になり、国民の皆さまに申し訳なく、心が重い」と述べた。今回の事故で朴氏が謝罪するのは初めて。韓国政府の対策本部によると、死者は205人、行方不明者は97人となった。
朴氏は「過去から積み重なった弊害を正すことができず、事故が起きて残念だ」と述べた上で、国民の生命に関わる重大事故に対処する政府指揮系統に問題があったとの認識に立ち、「国家安全処」(仮称)を新設すると明らかにした。
韓国メディアは、部下を叱責するだけで謝罪しないとして朴氏を批判。歴代大統領が事故などで謝罪した事例と比較して「謝らない大統領」を際立たせて伝え、非難を強めていた。
謝罪はこうしたメディアの姿勢を和らげる狙いとみられるが、国民の間には「閣議での所信表明にすぎず、国民に対する謝罪ではない」との意見もあり、収拾に一定のめどが立った時点で記者会見や声明発表などの形で改めて謝罪せざるを得ないものとみられる。