【国際情勢分析】
馬英九(ば・えいきゅう)政権を取り巻く台湾の政治状況が硬直化しつつある。中国との相互市場開放促進のためのサービス貿易協定に反発する学生らの立法院(国会に相当)議場占拠で、馬政権に対する市民の不安が一気に表面化した。一方最大野党、民主進歩党はこれに乗じて今年11月29日投開票の統一地方選を有利に展開し、その先に控える2016年次期総統選での政権奪回に結びつけたいところだが、政権攻撃の手法次第では「将来自縄自縛に陥る」と危ぶむ声も出ており、混沌(こんとん)とした状況の行方が注目されている。
重なる陳政権末期
「今の台湾は陳水扁(ちん・すいへん)政権の2期目とそっくりだ」
与野党立法委員(国会議員)は異口同音の感想をもらした。
2000年から08年までの民進党・陳水扁政権時代も、2期目は陳氏側近や身内から不祥事が続出。一方で強く独立志向を前面に打ち出して米国、中国の懸念や反発を招き、党内の批判や市民の大規模抗議デモにさらされた。
「馬氏も同じように側近の汚職が相次ぎ、大陸(中国)と急接近する姿勢が目立っていた」(野党議員)