日本では、海外でデング熱に感染し帰国後に発症する例は年間約200例あるが、国内での感染例は過去60年以上報告されていない。しかし今年1月、日本を旅行したドイツ人女性がデング熱にかかっていたことが判明。日本で感染した疑いも出ており、厚生労働省は警戒を強めている。
WHOが警戒強化
国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)のコット事務次長は今月(4月)上旬のジュネーブでの記者会見で「温暖化に伴い、デング熱を媒介する蚊が北上し、より多くの人々を危険にさらしている」と指摘した。
IFRCは声明で「デング熱は前例のない拡大を見せているにもかかわらず、関心が全く払われていない」として、国際社会に対策を急ぐよう促した。
WHOも今月(4月)7日の「世界保健デー」を前に公表した報告書で、蚊が媒介する病気の脅威が世界的に高まっていると指摘、研究への投資や各国の政治的関与を増大させることが大切だと訴えている。
■デング熱 ネッタイシマカやヒトスジシマカによりウイルスが媒介される感染症。世界で年間5000万~1億人が感染すると推定されている。発熱や頭痛などの症状が出て多くは1週間程度で回復するが、一部は出血を伴う重症のデング出血熱になることがある。予防ワクチンはない。東南アジアや中南米での感染例の報告が多いが、中国や台湾、欧州などでも報告が出ている。