低い雨雲が1つ去ったら、また1つ近づいてきて大粒の雨が激しく降り出した。
雨は未舗装の道を泥沼にし、川を増水させ活動をより困難にする。車は泥にはまり動けなくなり、屋外の活動に参加する住民は減ってしまう。私たちにとっては頭が痛いが、農業で生計を立てるここの住民にとっては恵みの雨だ。なにしろ4月の東ティモールは雨期なのだ。
東ティモール民主共和国(東ティモール)と聞いて、何人が正確な場所を示せるだろうか。オーストラリアの北に位置するこの国は、アジアで一番新しい国家だ。1999年にインドネシアからの独立が住民投票で可決され、2002年に国家としてのスタートを切った。1975年にインドネシアに統合されてから、27年後のことだ。太平洋戦争時には日本軍の占領下にもあったため、日本とも関わりが深い。
独立してから約12年の間で、軍部隊の反乱に伴う治安悪化や大統領暗殺未遂という困難を乗り越えてきたが、保健、教育、治安、雇用など課題は多い。特に、道路や水道などのインフラの整備、保健や教育環境の改善が急務で、政府の手が回りきらない部分をNGOや国連などの援助機関がカバーしている。