木の幹を男性、そして桜の花を女性にたとえるとしましょう。木の幹が雨の日も雪の日も耐えてためてきたものを、つぼみが全て持っていく。男が1年間ためてきたエネルギーを吸い尽くして、爆発的に咲く花。男は女のために全てをささげ、女はそれを土台に咲き誇り、全てのものを魅了する。男も女も、涙をにじませて…。これはあくまで私なりの見方ですけれど、染色のエピソードから、桜に込められた男と女の生命のリズムを感じたのです。
さまざまな解釈できる
そんな激しさを秘めながらも、桜の花びらはあくまでもかれん。
そこが、桜のすごいところだと思います。たとえば、バラはいかにも「私はバラよ」と、高貴なたたずまいです。でも、桜はかわいらしく清楚な表情でありながら、人をおそろしいほどに引きつけてしまう。かわいいだけではない、たくましさ、力強さを感じます。桜がかわいらしさの裏にたくましさを持っているとすると、逆にバラって、高貴な装いの裏に純粋さ不器用さを隠しているのかも。だから、あんなにもトゲを身にまとっているのかしら…。などなど、一生懸命咲く花たちの姿に、ついつい思いをめぐらせてしまいます。