ベートーベンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」も超人気協奏曲。「皇帝」という別名はベートーベン自身が付けたものではない。勇壮な曲想から発想された、協奏曲の中の協奏曲だから、などの説がある。この曲を1811年に初演したライプチヒ・ゲバントハウス管弦楽団がこの3月に来日。そして、ネルソン・フレイレをソリストに、世界最古のオーケストラ、ゲバントハウスの伝統を感じさせる「皇帝」を披露した。
当然ながら、さまざまなピアニストが録音している。特集では、ケンプと世界文化賞受賞者のブレンデルを取り上げ、音楽評論家の真嶋雄大氏に2人の聴き比べをしてもらった。ドイツを代表するピアニストの一人、ケンプは親日家で、NHK交響楽団との録音が残されている。真嶋氏はケンプの演奏を「説得力に富み濃密な叙情をたたえる」と評し、ブレンデルを「堂々たる造形、スケールが大きい」と説明した。
特集には、このほかブラームスやチャイコフスキーなどの協奏曲を取り上げ、バックハウスやアラウ、グリュミオーら著名な演奏家がたくさん登場する。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS)