東大で発覚した研究論文での写真の大量捏造(ねつぞう)、製薬会社ノバルティスファーマの治療薬をめぐるデータ改竄(かいざん)事件…。科学研究の現場での不正が後を絶たない。理化学研究所などのチームが発表した「STAP(スタップ)細胞」に関する論文も「重大な過誤」が発覚し、日本の科学研究への信頼が揺らぎかねない状況だ。「真理」を追究すべき科学の世界で、不正やずさんな行為がなぜ横行してしまうのだろうか。
「不正については大学の調査が続いており、コメントできない」。東大の元研究員は取材に堅く口を閉ざした。
東大分子細胞生物学研究所の元教授らが1997~2011年に発表した論文に不正な画像データが使用されていた問題。東大が昨年(2013年)12月に発表した中間報告によると、不正画像は51本の論文の計210カ所で使用され、43本は撤回、8本は訂正が必要だとした。画像編集ソフトを使って写真を合成したり、過去の研究で使った画像を使い回したりしていたという。
しかし、調査では不正を行った研究者の特定には至らず、動機も解明されないままだ。