【国際政治経済学入門】
「景気は、緩やかに回復している。また、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要が強まっている。先行きについては、輸出が持ち直しに向かい、各種政策の効果が下支えするなかで、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続きわが国の景気を下押しするリスクとなっている。また、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見込まれる」
これは、安倍晋三首相、麻生太郎財務相らが出席した3月17日の経済関係閣僚会議に、内閣府が提出した3月の月例経済報告の冒頭説明である。消費税増税実施を翌月に控えている事情から、この報告には格段の重みがあるのだが、いったい何を言いたいのかわからない。
官僚特有の逃げ口上
素直に言えば、「消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減などのために、今後の景気がどうなるのか、実はわからない」で済む。ところが、財務省が支配する内閣府官僚は「消費税増税に踏み切っても景気は大丈夫だ」と言って安倍首相に消費増税実施の決断に踏み切らせた手前もあり、「回復基調の持続が期待される(だれが期待するのか不明)」と及び腰ながらも、「景気は大丈夫ですよ」と弱々しくつぶやくのである。外需の「下振れリスク」を付け足したのは、官僚特有の逃げ口上だろう。