自然の「やさしさ」
38、9歳のときです。円形脱毛症で苦しんでいた私は、思い切って5日間のお休みをいただき、セブ島へ飛びました。そのとき訪れたジャングルで、忘れられない経験をしたのです。
ジャングルの中は、未舗装のデコボコ道。風や雨になぎ倒された樹木が、道をふさいでいたりもします。でも、そんな自然は私をやさしく受け入れてくれました。倒れても、次の木々を育む土台となり、命をつないでいく。全てをありのままに受け入れている自然のやさしさに、私は涙が止まりませんでした。
本当に傷ついた人には、飾られた言葉は役に立たない。本当のやさしさに、言葉はいらない。ただ、その人を思って寄り添い、受け入れるだけでいいのだと、自然が教えてくれました。
このように、旅は多くのことを気づかせてくれます。旅…いえ、人生で私が大事にしていることは、「感動」です。「1日に何度感動しただろう」と自分自身に問いかけます。感動するということは、自分自身の心を美しくするということ。