経団連は1月15日、2014年春闘の経営側指針となる「経営労働政策委員会報告」を正式に発表した。賃上げに向けた協調で合意した昨年(2013年)末の政労使協議を踏まえ、業績好調な加盟企業に賃上げを要請し、給与水準を底上げするベースアップ(ベア)の容認方針を明記した。経労委報告に「ベア容認」が盛り込まれたのは08年以来6年ぶり。経営側の指針が公表されたことで今春闘が事実上、スタートした。
報告書は現下の経営環境について「安倍晋三政権の経済政策で劇的に変化し、経営者のマインドも明るさを取り戻している」と分析。「業績が好調な企業は収益を設備投資、雇用の拡大、賃金の引き上げに振り向けていく」と明記した。さらに「ここ数年とは異なる対応も選択肢」とし、「賞与・一時金への反映のみならず賃金水準引き上げや諸手当の改定など多様な対応が考えられる」との表現でベアを容認した。
ただ、報告書は、賃上げにはベアや定期昇給のほか一時金も含まれるとしている。連合は「定期昇給の確保と1%以上のベア要求」との方針を掲げており、賃上げの具体的な内容が今春闘の焦点となりそうだ。