【本の話をしよう】
≪シリアスだから、どこかで救いを≫
形で提示しなければ
――今回も、終盤に登場する荒井さんならではのある解釈が、作品の世界観をより豊かにしています。具体的には読んでからのお楽しみなのですが…
荒井良二さん(以下荒井) あの絵を描いたのは、ある種の救いがほしいな、と思ったからです。子供の視線からすると、あのシーンではあの絵を見たいな、と思うはずだと。絵本を読むという体験は、どこかで救いにつながっていてほしい。
天童荒太さん(以下天童) ああ、小説でも本当にそうです。基本的には読み手の想像力に託すものだけれど、一般の人の想像力には限界もあるから、あえて形として救いを提示しなければならないときがある。
スピード感、リズム感
――物語そのものは全47ページ。絵本にしてはかなりのボリュームですが、リズミカルな文章と、絵の持つパワーであっという間に読了してしまいます