軍用艦命名にあたり、縁起の悪い「敗軍の将」の名をかぶせる海軍は極めて珍しい。ドイツが輸出用に開発し、韓国で建造する214型潜水艦の4番艦で、8月に進水した《金佐鎮(キムジャジン)》はそうした珍例の一つ。もっとも韓国海軍には、初代韓国統監・伊藤博文(元首相/1841~1909年)を殺害し、むしろ日韓併合(1910年)を進めてしまう頓珍漢なテロリスト・安重根(アン・ジョングン、1879~1910年)の名を3番艦に付けた“前科”がある。
彼の国には、歴史に名をとどめた英雄が少ないようだ。実は、あわや朝鮮半島が赤化される巨大な危機・朝鮮戦争(1950~53年休戦)に際し、身を挺(てい)して祖国を守った韓国人もいる。ただし、大日本帝國(ていこく)陸軍などの教育を受けた軍人が多く、“親日反民族行為者ブラックリスト”に掲載され、歴史から削除されてしまった。
214型は9番艦まで建造するというから、「テロリスト」→「敗軍の将」の次は一層スネに傷持つ“英雄”を墓場より掘り起こし、捏造する必要に迫られる。潜水艦名が枯渇する前に、歴史上の人物の命名を諦めてはどうか。