不思議な競技だ。静謐(せいひつ)が似合うスポーツとしては、射撃やアーチェリーに近い。氷上のチェスとも称される。先攻後攻がありエンド(イニング)があるところは、どこか野球にも似る。
カーリングの発祥は、ゴルフと同様にスコットランド。よほど遊びの天才を生む土地柄らしい。氷上を滑るストーンは重さ20キロ。これを40メートル先で相手のストーンと陣取り合戦をするのだから、筋力も集中力も戦略戦術も必要とする。
女子日本代表の北海道銀行チームがノルウェーを下し、ソチ五輪切符を手にした最終予選など、まさに手に汗握る試合だった。これほど見る者をはらはら、どきどきさせるゲームも珍しいのではないか。一投一投で攻守ところが変わり、ゆっくりと氷上を進むストーンの行方に一喜一憂する。
特に女子の場合、ストーンを凝視する選手たちの表情がまぶしいほどに美しい。仲間にかける指示の声の高さが、耳に心地よく響く。
トリノ五輪の女子代表の活躍で、競技人気は飛躍した。カーリング娘。略して「カー娘」と呼ばれた彼女らの中から、小笠原(旧姓・小野寺)歩(35)と船山(旧姓・林)弓枝(35)が結婚、出産を経てカムバックした。今度は「カーママ」なんだそうだ。