【安倍政権考】
安倍晋三首相(59)が安全保障の立て直しを進めている。12月4日に国家安全保障会議(日本版NSC)が発足。6日には特定秘密保護法が成立し13日に公布された。国家安全保障戦略や新しい防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画は17日に閣議決定の運びだ。
これらは突き詰めて言えば中国の軍事的台頭への備えである。国内総生産(GDP)が世界第2位になったとされてからの中国は自信過剰だ。本当は「張り子のトラ」なのだが、それを自覚するはずもなく、質に疑問があっても数は多い中途半端な軍事力をちらつかせて居丈高に振る舞う。厄介な隣人だ。
日本が防衛努力を怠ったり、国際法に基づく秩序や国の主権を守り抜く姿勢をとらなければどうなるか。「張り子のトラ」でもトラと化す。中国が、日本には闘志も根気もないと見なせば、日本の領土も、名誉も、経済的な権益も奪おうとさらに圧力をかけてくるだろう。
軍事バランスの確保を
安倍政権の安全保障政策の方向性は間違っていない。今後は、自衛隊の増強はもちろん、領域警備態勢の充実、集団的自衛権の行使容認、武器輸出三原則の見直し、憲法改正による軍の保有などへ進まなければならない。日米同盟の強化と「核の傘」の維持は前提条件となる。