砂塵をあげて疾走する四輪駆動車に揺られていると、ラリー・レースにでも参加しているような気分になってくる。ここは、ケニア南西部の乾燥しきったサバンナ。2013年8月、私は19人の支援者とともに、マサイの人たちの村を目指していた。
アフリカ東部の国ケニアには、40以上の民族がいると言われる。マサイもその中の一つで人数的には少数派だ。にもかかわらず、知名度はとても高い。
背の高い男性たちが赤い衣装でジャンプする「マサイの戦士」や、ビーズのアクセサリーで着飾った女性たちを思い浮かべる方が多いからだろう。
そのマサイの村でワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、「チャイルド・スポンサーシップ」というプログラムに基づく支援活動を行っている。子供たちの健やかな成長を目指して、困難な状況にある地域の人々とともに衛生環境や教育環境を整える活動だ。この活動を支えるのは、日本に約5万3000人いる「チャイルド・スポンサー」と呼ばれる支援者。スポンサーになると、途上国に住む子供「チャイルド」が1人紹介され、文通などを通じて交流することができる。スポンサーの方が支援地域を訪問するツアーを毎年2、3回開催しているが、今回は、ケニアのツアーとなった。