北京五輪のメーンスタジアム「鳥の巣」を設計したのが、中国を代表する現代芸術家、アイ・ウェイウェイ(艾未未、56)だ。キュレーター、評論家としても精力的に活動し、その守備範囲は広い。舌鋒鋭い体制批判論者として知られるアイは、ツイッターやブログを駆使して社会の矛盾を世界へ発信し続けており、彼の日常生活は一部始終、当局から監視されている。
2年間にわたりアイに密着し、破天荒にすら見える彼の過激な人生の本質に肉薄したのが、長編ドキュメンタリー映画「アイ・ウェイウェイは謝らない」。中国を拠点に報道番組の制作を続けてきた米国のアリソン・クレイマン(29)がこのジャンルで初めて監督に挑んだ。「彼はとても変わった人に見えたけど、政治について語る姿にはカリスマ性がある。すぐにとりこになったわ」。クレイマンは2008年、中国で出会った際の第一印象を振り返った。
釈放後の言動見どころ
作中では、アイと当局の激しい対立を軸に、言論の自由がない中国の現状が盛りだくさんのエピソードとともに映し出されている。