2010年末、チュニジア中部で起きた若者の焼身自殺を機に、中東・北アフリカ圏で吹き荒れた民主化要求運動「アラブの春」では、モスクワ支局に勤務していた筆者も取材に駆り出された。
11年には、公の場から姿を消したリビアの最高指導者カダフィ大佐(のちに死亡)や、国連での地位格上げを狙うパレスチナ自治政府の動きを伝えるため、カイロやヨルダン川西岸の都市ラマラなどを訪れた。しかし、このときもシリアに行く機会はなかった。
内戦が始まってから2年半以上が経過したシリア。深刻な飢えが人々を襲い、栄養失調に加えて餓死する子供も増えているという。ダマスカスの難民キャンプでは、イスラム教で禁じられている犬や猫を食することを認めるファトワ(宗教裁定)が出されたとのニュースも流れた。
いまこの瞬間にも緊張状態を強いられている人々のことを思うと、やりきれない気持ちになる。(外信部 佐藤貴生/SANKEI EXPRESS)