6月に第2子となる長女を出産したばかり。この3年間、じっくり腰を据えて子供と向き合う日々を送ってきた永作(ながさく)博美(43)が2年ぶりの主演作「四十九日のレシピ」(タナダユキ監督)で演じたのは不妊に悩むアラフォーの主婦。苦悩の末、自分らしい生き方にたどりついた同世代の女性の姿を、優しく軽やかに表現してみせた。
本作は、伊吹有喜(ゆき)の人気小説を映画化したものだ。妻の乙美(執行(しぎょう)佐智子)を亡くし生きる気力を失っていた熱田良平(石橋蓮司)のもとへ娘の百合子(永作博美)が出戻ってきた。夫の浩之(原田泰造)が愛人をつくり、あろうことか子供までもうけてしまったことで、百合子は離婚を決意していた。そんなある日、「乙美から家族の面倒を見てほしいと頼まれていた」と、2人の前に謎の少女(二階堂ふみ)が現れ、乙美が残した家事全般のレシピの存在を伝える。
永作は主人公・高岩百合子の人間像をどう構築すべきか、リアリティーを求め、苦しみながら思案を重ねた。「今、神様に感謝するばかりです」と恐縮しながら語るように、2人の子供を授かったばかりの現在の永作にとっては、百合子は極めて距離をつめにくい役柄なのだ。