そして比べる側は“善し悪し”をよく言ったりしますね。「ああいう芸は良くない」「あの師匠の芸はとても良い!」。普通のお客さんも評論家になった気持ちでそういうことを仰しゃる。
でも、どうでしょうか? 芸事にあるのは“善し悪し”ではなく“好き嫌い”ではないかと思うんです。いや、そりゃ両方ある!と仰しゃるかもしれませんが、好きだと、その芸人がたまたま期待外れなことがあっても、「今日は調子が悪かったな? 珍しい…」なんて言って理解してくれて、次も聞こうというモチベーションが下がらない。反対に嫌いな芸人をたまたま聞いたときに自分の求めているものと違うと、必要以上に落胆したり悪口を言ったりする。好意の有り無しがすべてを支配しているような気がしてなりません。
ある程度のレベルに
でも、僕が地ビールを飲んだときに感じた、あのワクワクには、比べる楽しさが不可欠でした。ビールたちはみんなおいしかった! ここが、とても大事な部分。一つでも圧倒的な不味(まず)さを誇っていたら飲み比べは失敗に終わる。