合格発表の掲示板を恐る恐る見上げる受験生の気持ちと似たところがあるのかもしれない。レンタルビデオ店で自身の出演作の貸し出し状況を確認する瞬間は、数々の大ヒットドラマに携わってきた武田鉄矢(64)がいまなお心をときめかせるひとときだ。「出演したテレビドラマのDVDが貸し出し中になっていると、僕はうれしいんですよ。当時の視聴者のうちの0.000何%の人たちが今でもいてくれて、自分の作品が陳列棚で生きているっていう気がするんですよ」
中国版「101回目のプロポーズ」
そんな武田のもとへ、トレンディードラマ全盛期の1991年に浅野温子(52)との共演で大ヒットしたテレビドラマ「101回目のプロポーズ」(野島伸司脚本、フジテレビ系)を中国で映画化するので出演してくれないかという話が舞い込んだ。テレビドラマでは、美貌のチェリスト矢吹薫(浅野)と、鈍くさい男、星野達郎(武田)が織り成す恋模様が切なく描かれた。婚約者を失い、再び人を愛することにおびえる薫に、達郎がダンプカーの前に飛び出し言い放った「僕は死にません」というせりふは、当時の流行語にもなった。