重要5分野は関税分類上、計586品目に分かれる。コメならば、精米、玄米、米粉など58品目に細分化される。ここで一つの理屈が成り立つ。例えば精米だけでも関税を維持すれば、「コメは守った」と言える。
集会の5日後。石破氏は「(586品目の)細目の中で(関税撤廃を)検討するものがあれば検討すると言っている」と語った。前出の理屈が念頭にあるのだろう。だが、党内で「586品目の中での譲歩は既定路線」との認識が共有されたことはない。これを世間では「二枚舌」と呼ぶ。
TPP慎重派は怒り心頭かと思いきや、不思議と石破氏への非難は噴出していない。秘密保持を条件に進むTPP交渉で、石破氏は党を代表して政府と連携しているのに、相変わらず「情報不足だ」の大合唱が続く。今取り組むべきは現実を直視して具体的にどの品目を譲るかの議論のはず。自民党の野党気質が抜けるには、まだまだ時間が必要らしい。(酒井充/SANKEI EXPRESS)