突然ですが、あなたの父親がポール・マッカートニーだと想像してみてください。仕事中に彼からメールが来ました。「パパは明日から日本でコンサートなんだ。しばらく家を空けるから戸締りをよろしく」なんて。「嬉しいことにチケットの売れ行きが絶好調らしい。頑張らないとね」
御歳71歳。父親っていうかおじいちゃんじゃない、という人もいるでしょう。その方が、いまだに現役バリバリなのです。会議資料を作るかのごとく次々と名曲を書き、宴会の余興くらいの余裕でドーム・ツアーを成し遂げる。彼いわく「一番下の娘を学校に送った後、3時間曲を書くというのが午前中の日課のようになっていたんだ」。そうやって生まれたアルバムが今週発売になりました。タイトルは『NEW』。プロデューサーにマーク・ロンソン、ポール・エプワースなど時代の最先端のクリエイターを迎えて、ポールらしいけど新しいサウンド作りに成功しているといえるでしょう。ただ、漫然と永く音楽を続けているのではなく、常に最先端を走り続けているのです。