安倍晋三首相は経済再生と財政再建の両立を掲げ、10月15日召集の臨時国会に臨む。政府の成長戦略を具体化するための法案を成立させ、デフレ脱却への道筋を示せるかが課題だが、審議日程は窮屈で楽観できる状況にはない。長期政権を見据える首相にとって、大きな試練になりそうだ。
臨時国会は衆参両院のねじれが解消されてから初めて、与野党が攻防を繰り広げる国会となる。首相が最も重視するのは、企業に設備投資や再編を促す「産業競争力強化法案」や、大胆な規制緩和を可能にする「国家戦略特区」関連法案など成長戦略を実行に移すための法案だ。
経済再生への期待から安倍内閣は高い支持率を維持している一方、与党内では「大半の国民にとって景気回復の実感は乏しい」(ベテラン議員)との見方が強い。来年4月の消費税増税を控え、景気を下支えする観点からできるだけ早く政策を実行し、政権基盤を強固にする必要がある。
重要法案について野党側は徹底した論戦を挑む構えで、すんなり成立するかどうか見通せない。