【アメリカを読む】
唐突に映った発表の数々も、実はすべてが周到な計算が働いてのことだったと思わされる経済ニュースがある。
米マイクロソフト(MS)が大規模な組織再編を発表したのは7月11日。8月2日には、トップのスティーブ・バルマー最高経営責任者(57)が、「1年以内に退任する」と表明した。そしてその1カ月後、MSはフィンランドの携帯電話機大手ノキアから携帯端末事業を買収すると発表した。
わずか2カ月足らずの間に連発した特大級の経営ニュースは、「MSはこれから変わる」という“本気度”を世間に印象づける狙いがあった。
4事業部門に集約
MSが「第2の創業」とも呼べる経営改革に挑もうとしている。圧倒的なソフトウエアのシェアで収益を支えてきたパソコン市場が低迷する中、成長分野のモバイル機器などハードやクラウド市場の拡大に対応するのが狙いだ。M&A(企業の合併・買収)や提携にも積極的に取り組み、変化の激しいIT業界で生き残るため、アップルと並ぶ「シリコンバレーの雄」が新たな羅針盤を模索している。