2017.8.10 06:02
人材派遣などを手がけるイマジンプラス(東京都渋谷区)は中高年向け職人養成学校「匠アカデミージャパン」(同)を開校、定年後の「第2の人生」のサポートに乗り出した。第1弾として空き家や中古物件のリノベーションスキルを学ぶ「リノベーターズ講座」を開き、大工職人を養成する。
ミスマッチを解消
同社社長で匠アカデミー理事長を務める笹川祐子氏は「少子高齢化に伴う人手不足で若年層は超売り手市場だが、40~50代の転職や定年後の再就職は厳しい。このミスマッチを解消したかった。人生や働き方もリノベーションしてほしい」と開校の狙いを説明。知的好奇心旺盛で創造性豊かな技能者「インテリ・ガテン」を育成していく。
匠アカデミーは今年1月に「リノベ初級講座」をスタート、30日には第3期生の講座が始まる。10月までに座学5回のほか、千葉県松戸市の空き家をリノベーションする実習5回を行う。学費は10万円(入学金込み)。社会人も参加しやすいように座学は平日午後7~9時、実習は日曜午前9時~午後3時に実施する。定員は6人で、参加者を募集している。
初級コースでは、リノベーターになるための基礎的な道具の選び方や使い方、材料の種類の違いを学ぶ。実習では実際の物件を使ったリノベーションをプロ仕様の道具で体験、リフォーム需要の多い壁や床を中心に技能を習得する。
中級コースは9月にも開講予定で、実習は東京・中野で実施する。和室の床のゆがみ補正や外壁塗装、ガーデニングなどの腕を磨く。
「本科(初級、中級、上級)」に加え、第2種電気工事士資格対策や内装の補修といった特定の職種を学ぶ「専科」も用意。続けて受講すると「1年程度でインターンとして現場の仕事ができるようになり、腕前次第では見習いとして働けるようになる」(笹川氏)。すでにインターンや卒業後の受け入れ先も確保しているという。
「肩書」から「腕前」
空き家が増える中、その有効活用のためにリノベーションやリフォームといった需要が増える見通しだ。このため人手不足に悩む建設業界から内装工事を任せられる大工職人を求めるニーズは高いとみている。
匠アカデミーは定年後の人生を見据えて、セカンドキャリアの形成をサポートする。中高年向け職人養成学校は日本初という。定年後の心配である「お金、健康、やりがい、社会とのつながり」を受講によって技能を磨くことで解消。これまでの「肩書」から「腕前」に人生観・価値観をシフトさせ、健康で仲間と楽しく働き、地域の役に立つ人材として定年に関係なく生涯現役を目指す。将来的には地方創生にも貢献できるプロジェクトを展開したいという。
イマジンプラスは1997年創業で、人材派遣、教育研修に20年間携わってきた。次の20年に向けた新たな挑戦として、シニア層のセカンドキャリアを提案するため匠アカデミーを立ち上げた。