2017.6.18 13:15
ウチは共働きだから、老後も心配はなし。そんな楽天家計が一番お金が貯まりにくい。財布が別々だとなぜお金が「ダダ漏れ」するのか。
パートナーの収入を知っているか?
あなたはいくつあてはまるだろうか。
□ 共働きだから老後もなんとかなるだろう
□ パートナーがちゃんと貯めているだろう
□ パートナーの収入がいくらあるのかわからない
□ 自分のおこづかいの額をパートナーに知られたくない
□ 家族全員の貯蓄額がいくらなのかわからない
上記の状況に当てはまるものが多い共働き家計は、お金が貯まりにくい。
その大きな原因は「分散支出」にある。
これが投資なら分散することによりリスクを下げる効果が期待できるが、家計の支出を夫婦それぞれが負担する「分散支出」では、リスクは高まる一方だ。
分散支出の代表例には、夫が住居費や水道光熱費などを負担し、妻は日々の食費や日用品費などを払い、携帯電話や保険料などはそれぞれが支払う、またはその時の契約方法によって混在している……というものだ。
【夫負担が多い支出例】住居費・水道光熱費・プロバイダー代など
【妻負担が多い支出例】食費・日用品費・医療費など
【それぞれが負担することが多い支出例】携帯電話代・保険料・教育費など
一見、誰が何を払っているのかが明らかで良いように見えるが、家計全体としていくらの収入があり、いくら貯蓄ができ、いくら支出しているのかという全体像がつかみにくい。
そして、わからないからこそ、「まぁ、なんとなかなるか」という楽観さで自分の不安に蓋をしたり、「共働きだから少々食費が高くても仕方がない」と理由をつけて無理やり自分を納得させるようになるのだ。
たしかに、共働き夫婦では収入もそれぞれにあるが、付き合いもそれぞれにある分、支出も膨らみやすい。そのままでは倹約意識がないと貯蓄が貯まりにくいので、共働きの家計管理術として「一本化」と「共通口座」の2つの方法をお伝えしよう。
なぜ引き落とし口座の一本化を嫌がるか
「一本化」とは、その名前の通り、自動引き落としのものを1人に集中させる方法だ。
たとえば、夫の収入がメインとすると、自動引き落としの項目はすべて夫の給料受取口座から差し引かれるようにする。それにより、「夫の給与振込口座-家族の支出」という一本化ができるため、記帳や残高照会をするだけで、一つでお金の出入りが確認できる。
家計としていくらの収入があり、いくら使って、いくら残っているのか…ということが簡単にスッキリする方法だが、実は、難点がある。
「自分の収入や貯蓄額を相手に知られたくない」と考える共働き夫婦が多いことだ(付け加えると、あくまでも自分の額を知られたくないだけで、相手の金額には興味は持っている)。だから、一本化をしぶる夫(妻)は少なくない。
こんな場合は「共通口座」をつくることだ。
共同口座といっても、実際に2人名義での銀行口座は作れないから、どちらかの名前で家計用の口座を作り、そこにそれぞれが必要な金額を入れる。
必要な金額としては、次の支出金額の合計を考える。
【共通口座の主な項目】
・住居費
・食費
・水道光熱費
・雑費
・通信費
・交通費
・教育費
・夫婦としての貯蓄(家族のレジャー費、冠婚葬祭費、老後資金、車、固定資産税など)
つまり、「家族としての支出」と「将来必要な貯蓄」はすべて共通口座で行い、趣味や個人的な楽しみのための貯蓄は本人の収入の範囲でやりくりするのだ。
たとえば、「家族としての支出」が月30万円、「夫婦としての貯蓄」が8万円だとする。この場合は、2人で1カ月38万円を共通口座にいれたらいいので、夫婦半々で19万円ずつでもいいし、夫が25万円、妻が13万円でもいい。
夫(妻)ともめない共通口座の作り方
話し合って決めた金額を毎月でもいいし、まとまった貯蓄やボーナスがあるのなら、半年や1年に1回と決めて入金してもいい。
共通口座ができれば、1年間で456万円のお金が口座の中に入ってくるので、記帳するだけで家計としての支出と貯まっていくお金が”見える”。これにより、管理も楽だし、お金も貯めることができる。
さらには、共通口座に入れなかったお金は自分のこづかいとして自由に使えるし、家計にいれるお金の義務はきちんと果たしているから、「趣味にばっかりお金を使って」とパートナーに言われるストレスもなくなるのだ。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがあるが、疑心暗鬼だったり、恐怖心をもってお金を見ると、それは「見たくないもの」「考えたくないもの」になってしまう。ただし、真正面から取り組むことで、いざやってみると「案外あっさり」解決してしまうことが多いのも共働き家計の特徴なので、貯蓄に悩むなら、「一本化」か「共通口座」に挑戦してみてはいかがだろうか。(ファイナンシャルプランナー 前野 彩)
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