2016.2.13 17:04
【Q】志望する業界が絞れません
【A】企業が何を扱っているかだけではなく、顧客から見た存在価値を考えてみましょう。誰から、何に対して「ありがとう」と言われているのか、という視点が大切です
就職みらい研究所の調査では、学生のみなさんが就職活動を開始した当初、最も重視していた条件は「業種」でした。まずは、どのような業界で働きたいかを考える学生が多いようです。
ある学生の例をご紹介します。「自分の力を試してみたいので、形のない商品を扱う金融業界に行きたい」と就職活動を進め、無事、内定しました。しかし、活動を通していろいろな先輩の話を聞く中で、扱う商品やサービスの形に関係なく、自分がその価値を高めていくことにやりがいやおもしろさがあることに気づいたといいます。
内定した金融関係の会社に入社することになったものの、「もう少し幅広い視点で活動すればよかった」と振り返っていました。何を起点に業界選びをするかは、とても難しいですよね。
実際、業界研究の目的は何でしょうか。将来、成長しそうな業界を探すのもいいでしょう。しかし、最終的には、自分が仕事に何を求めているのかを知ることが大切なのではないでしょうか。そのため、業界選びには、「自分がどんな仕事をし、どんなやりがいを得たいのか」という自己分析と、「自分の希望を満たすことができる業界はどこなのか」を見つけ出す業界研究の2つの視点が必要なのです。
まずは、企業が商品やサービスを提供した結果、誰から「ありがとう」と感謝されているのかを想像してみてください。
例えば、コーヒーショップ。コーヒーという目に見える商品を提供しているだけではなく、安らげる空間も提供し、利用者から感謝されています。銀行の場合は、企業にお金を貸すだけではありません。融資先の経営者の志をかなえようと市場調査をしたり、事業計画の見直しに取り組んだりして一緒に奮闘し、「ありがとう」と言われているのです。
その業界は顧客にどんな価値を提供しているのか、その結果、どのように感謝されているのか。その感謝の気持ちを自分も受け取りたいと思うのか。そんなことを想像しながら業界研究を進めるとよいでしょう。OB・OG訪問や説明会で社員に直接聞いて、理解を深めてください。(リクルートキャリア『就職みらい研究所』主任研究員 戸川博司)
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