都内で新型コロナウイルスに感染して入院中の患者が、100人以下で推移している。統計を取り始めて以来、100人を下回るのは初めてで、感染者数の減少に加えワクチンの普及に伴う重症化の抑制効果があるとみられる。一時は逼迫した病床数にも余裕が出ており、医療提供体制も通常医療と両立できる状態になっている。
新型コロナ感染による都内の入院患者数は、9月4日に過去最多の4351人となったのをピークに減少傾向が続き、今月18日には94人と、入院患者のみの集計を始めた昨年5月12日以来、初めて100人を下回った。21日時点の入院患者は82人だった。
都は当初、医療機関への入院と宿泊療養、自宅療養を区別せずに計上。その後、患者の容体や医療の逼迫具合などを正確に把握するためにそれぞれの集計を始めたが、常に入院患者は100人を超えていた。
最大の要因は感染者数そのものの減少だ。17日時点での都の感染状況の分析によると、新規感染者数(7日間平均)は21人。5千人近くに達していた夏のピーク時から激減した。前週の23人と比べてもさらに減少しており、都は「感染者数が一定程度に収まっている」と評価した。
加えてワクチン効果も考えられる。現在、都内全人口の7割超が2回目接種を終えている。専門家は「ワクチンは重症化の抑制に効果的」と話しており、感染しても症状が軽く、入院を避けられたケースも多いとみる。これに伴い、病床の逼迫度も緩和され、都は医療提供体制について「通常医療との両立が可能な状況」と分析している。