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安易な「副業を利用した節税」に注意! 国税庁に否認された事例とは (1/3ページ)

高橋成壽
高橋成壽

 国民の収入が右肩下がりとなり、所得対策の一環として政府が副業を推奨している事情もあり、「副業の赤字を活用して節税する」という方法が喧伝されるようになりました。これはどのような仕組みを利用しているのでしょう。また、なぜ否認される場合があるのでしょうか。すでに副業の赤字を使って節税してしまった人だけでなく、これから節税をしたいと考えている人も確認いただきたい内容です。

■安易な副業による赤字節税の否認とは?

 ある医師が通常の確定申告では雑所得とする原稿料を事業所得とし、様々な経費を計上したことで、事業所得が大幅な赤字となり所得税を減らすことに成功しました。所得税では収入の分類が雑所得の場合では赤字になっても、他の収入の黒字部分を減らすことはできません。しかし、事業所得の場合は、事業の赤字を他の収入の黒字部分と相殺させることができるようになります。このような黒字と赤字の相殺を損益通算といいます。

 国税庁としては、この医師の執筆を本業ではなく本業外の収入であるとみなしたことから、執筆は事業所得ではなく雑所得であるとしました。その結果、事業所得の赤字による給与所得の黒字分の相殺がなくなります。黒字が増えたことで所得税が増える結果となります。正しく表現しようとすれば、従来どおりの税額に修正されたと言えるでしょう。

■赤字を活用するとはどんな仕組みなの?

 この事例は多くの会社員や公務員が気をつけるべきです。なぜなら、副業の収入を事業所得にし、赤字として申告すれば、給与所得を減らすことができ所得税と住民税を減らすことができるからです。

 所得税では、収入の区分を10に分類しています。給料は給与所得、副業的な原稿料などは雑所得、いわゆる個人事業としての収入は事業所得となります。10の所得のうち、総合課税といって一年間に得た所得を合計して所得税を計算するものは、不動産所得、事業所得、給与所得、山林所得、一時所得、雑所得となります。この他、分離課税といって他の所得と合算せずにそれぞれ所得税を計算するものが、利子所得、配当所得、退職所得、譲渡所得となります。※国税庁「所得の種類と課税方法」を参照ください。

 このうち、損益通算という所得の赤字を他の所得の黒字と相殺できるものは、不動産所得、事業所得、山林所得となります。※国税庁「損益通算」を参照ください。

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