介護保険が適用される特別養護老人ホームなどの利用料には、負担限度額に関する認定基準要件があります。その認定基準が改正され、今月から資産基準が厳しくなりました。同時に、介護保険施設を利用する際の食費の負担額も見直されています。特養や老人保健施設などの施設入所だけではなく、短期入所(ショートステイ)の際の食費負担も変わりました。
以前は年金などの収入が少なく、かつ非課税世帯であれば、補足給付(軽減措置)の対象になり、利用料がかなり抑えられていました。ところが平成27年度に資産基準が導入され、夫婦で2千万円超、単身者で1千万円超の預貯金などがあると補足給付が受けづらくなり、利用料がアップしたのです。
資産基準は今月からより厳しくなり、夫婦で2千万円超の基準が1500万~1650万円超に、単身者で1千万円超の基準が500万~650万円超に引き下げられました。金額に幅があるのは、収入によって適用額が変わるからです。非課税家庭であり、年金やその他の所得合計が年間80万円以下であっても、650万円(夫婦は1650万円)を超える預貯金などがあると、補足給付が受けづらくなります。
たとえば、非課税家庭で800万円の預貯金を持ち、年金などの合計所得金額が70万円の方がいるとします。この方がショートステイを利用する場合の食費は、先月まで1日390円でしたが、今月からは600円に上がりました。同じく非課税家庭で800万円の預貯金を持ち、合計所得が120万円を超える方が、特養のユニット型個室を利用する場合、食費は1日650円から1360円に上がりました。
「介護が必要になったら、特養に入所すれば何とかなる」と考える方は多いはずですが、安い施設とはかぎらなくなっています。また特養は、要介護3以上でないと入所申請ができないため、要介護1や2で施設介護を望む場合は、介護付き有料老人ホームや介護型ケアハウスを検討することになります。(ファイナンシャルプランナー 畠中雅子)