山梨県の長崎幸太郎知事は8日の定例会見で、県内の全中高生と小学校6年生全員に、大人の代わりに家事や介護を担う「ヤングケアラー」の実態調査を実施すると発表した。対象は5万3千人。担当者によると、中高生ら全員を対象にした調査は都道府県レベルでは初とみられる。実態の把握と同時に、アンケートを通じて、ヤングケアラーの問題を中高生らに認識してもらう考えだ。
ヤングケアラーは家事や病気や障害のある家族の介護などを日常的に行う18歳未満の子供のこと。自由な時間が取れず、勉強や進路への影響や人間関係の構築がうまくいかないなど、健全な発育の妨げになることが懸念されている。しかし、自身や家族が自覚していないケースもあり、認知の必要性と、行政や地域社会による支援が求められている。
長崎氏は「対応策を進めるには、まず実態を確認することが先決」と強調。夏休みに入る直前の今月中旬から大規模調査を始める。家庭での生活に課題がないかなどを聞く内容。無記名方式だが、自身がヤングケアラーであることを認識した場合には相談先などが分かるように配慮する。