沖縄県うるま市の県立中部病院で5月下旬以降、新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生したにもかかわらず公表が大幅に遅れる問題があり、玉城デニー知事は4日、臨時会見を開いて「県民に不安と心配をかけ、心よりおわびしたい」と陳謝した。全国最悪の感染状況が続く沖縄で、県の不適切な対応がまた一つ明らかになった格好だ。
県などによると、中部病院は県のコロナ治療を担う重点医療機関だが、5月24日から6月17日にかけ、患者36人、職員15人の計51人が感染、うち17人が死亡した。
病院側では、感染者数が5人以上となった5月31日に会見を開き、公表したいと県に打診したものの、県はクラスターと判断できないとし、会見を見送るようメールで指示した。しかし院内感染はとまらず、病院側は6月11日に改めて会見を開くことにしたが、この時も県は「今回の状況はクラスター公表基準を満たさない」とするメールを送り、会見は中止された。
一方、6月30日の県議会で県政野党の自民党議員がこの問題を取り上げ、県は50人超の大規模クラスター発生を認めた。県議会では「隠蔽ではないか」とする厳しい批判も噴出。玉城氏に詳細な説明を求める声が与野党を問わず強まっていた。
玉城氏は4日の臨時会見で、「クラスター発生時の公表基準がなく、県庁内においても情報共有のあり方に問題があった」と説明。隠蔽の意図はなかったとしつつも、「猛省しなければならない」と、不適切な対応であったことを認めた。
県は今後、病院内でクラスターが発生した場合、病院名や感染者数などを発表するとともに、病院のホームページにも県民に情報提供するとしている。