人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い脊髄損傷の患者を治療する世界初の臨床研究について、慶応大は28日、患者募集を始めた。患者決定後、1カ月以内に手術を行うとしている。
スポーツ中のけがや交通事故で脊髄を損傷してから2~4週間以内の「亜急性期」で、運動の機能や感覚を失った18歳以上が対象。(【世界初】iPS創薬で発見のALS治療薬候補 慶応大の研究チームが有効性を確認)
iPS細胞から作った神経のもとになる細胞約200万個を、脊髄の損傷部分に注射で移植し神経細胞に成長させ、安全性や有効性を確認する。まず患者1人を選んで実施し、問題が生じないかを確認した後、さらに3人に追加で実施する。(【拒絶反応起こさずがん攻撃】京大チーム、遺伝子改変iPS免疫細胞)
臨床研究の計画は平成31年2月、厚生労働省の作業部会で了承されていたが、新型コロナ感染症への対応を優先していた。東京都の緊急事態宣言が解除されるなど、状況が変わったことから募集を開始した。(【iPS血小板】京都のベンチャーが令和5年に実用化へ 年内に治験で輸血)
国内では、毎年約5000人が新たに脊髄損傷になり、10万人以上の慢性患者がいるとみられる。