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EVは特別な存在ではない メルセデスベンツ「EQA」が魅せた新スタンダード (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 世界的潮流であるカーボンニュートラル(脱炭素)に対応する形で、メルセデスが力を注いでいるのが電気自動車(EV)化である。このところ次々と「EQ」シリーズを発表していることでそれはわかる。

 内燃機関を含めてフルラインナップを揃えるメルセデスは、“すべての車両をEVにする”といった闇雲な電動化戦略を打ち出してはいない。だが、EVモデルの充実を急いでいるのはたしかだ。ガソリンエンジンを主体にした最高級のSクラスをリリースしたばかりだというのに、その直後に「EQA」を発表。電動化へも並々ならぬ意欲を示しているのだ。

 EQシリーズとはメルセデスのEVモデルの呼称である。末尾の「A」は車格を表しているようで、つまりAクラスからアルファベットが進むに従ってボディサイズや価格帯が高まるメルセデスの流儀にならったもの。つまり、「EQA」は電気モーター駆動するAクラスと認識して良い。

 とはいうものの、Aクラスがコンパクトなボディをベースにした大衆路線であるのに比較して、ボディサイズは決してコンパクトではないし、チープな印象も薄い。

 全長4465ミリ、全幅1835ミリ、全高は1625ミリに達する。広報資料の文言を借りれば「ちょうどいいサイズ」であり、つまり、日本の市街地でも持て余すことなく、それでいてフル乗車でのロングドライブもこなせるというサイズ感である。

 存在感のあるSUVフォルムであり、実際にドライブしていても窮屈な印象はまったくない。そればかりか、Aクラスから想像するより広々とした空間が広がる。EQAの「A」をAクラスから引用としているのは嘘なのかもしれない、とさえ思う。

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