男子プロゴルフの松山英樹がマスターズで優勝し、日本人初のメジャー制覇を果たしてから約2カ月。笹生優花が女子プロゴルフの最高峰、全米女子オープンで大会史上最年少優勝を果たした。相次ぐ歴史的な快挙は、今月20日の「父の日」のギフト選びにも影響を与え、コロナ禍で苦戦していたゴルフ用品市場は今、活況を呈している。
贈り物に「パターマット」
ヤフーはネット通販サイト「Yahoo!ショッピング」における5月10~27日の利用者の動向を調査。「ゴルフ」を含むワードの検索数が前年同時期と比べて1.5倍に増加しており、手数料などを含む取扱高も前年比で増えたことが分かった。
商品名に「父の日」を含むゴルフ練習用品に絞って調べると、取扱高が前年から7.9倍に急増していた。売れ筋は室内で使えるパター練習マットや、庭に設置する練習用ネットで、価格帯は約4500~2万6000円だった。新型コロナウイルス対策で外出の機会が減ったことで、ゴルフ好きの父親に充実した在宅時間を送ってほしいという消費者の意向があるとみられる。
ゴルフ用品のギフトではクラブやウェアが主流であり、練習用品の需要が増えるのは異例だ。ヤフーの担当者は「松山選手の活躍が父の日商戦を盛り上げているのでは」と分析。練習用品だけでなく、ゴルフ用品全体で見ても5月10日~6月7日の取扱高が前年の2.8倍と好調だったことから、「今年の父の日ギフトのトレンドだ」(ヤフー担当者)と結論づけている。
ルール改正で人気商品に
2020年4月以降に発令された緊急事態宣言で外出自粛の傾向が強まり、ゴルフ業界も打撃を受けた。矢野経済研究所による2020年のゴルフ用品市場規模予測では、ゴルフクラブが889億4000万円(前年比83.9%)、ウェアが826億円(同90.9%)、シューズやキャディバッグなどのゴルフ用品が280億2000万円(同86.3%)だった。
練習器具を含む「その他ゴルフ用品」は前年比93.9%の128億6000万円で、他のカテゴリと比べてマイナス幅が小さい。矢野経済研究所は、2019年のルール改正で2点間の距離を測る用途に限って距離計測器の使用が原則的に認められ、「携帯型飛距離測定器」の需要が継続して増えたことが影響したとみている。
各ネットストアでも今年の父の日ギフト用に、レーザーや衛星利用測位システム(GPS)を使ったゴルフ用の距離計測器が出品されており、1万円前後のものが人気を集めている。