ヘルスケア

AIで個人に最適化した発症予防へ 京大とオムロンヘルスケアが共同研究開始

SankeiBiz編集部
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 オムロンヘルスケア(京都府向日市)と京都大学は27日、AI(人工知能)の解析技術を活用して患者個人に最適な血圧管理・改善法などを導き出す共同研究「健康医療AI講座」を開始すると発表した。6月1日に京大内に講座を新設。研究期間は2024年3月までとしている。

 健康医療AI講座は(1)血圧値改善のための血圧管理方法の構築(2)脳・心血管疾患発症の早期発見─を研究テーマに掲げる。

 血圧管理については、日常生活で計測した体重や体組成、活動量などといったバイタルデータ(心拍数や体温)と、喫煙や飲酒などの生活習慣に関するデータを組み合わせることで、個人に最適化された血圧管理・改善プランを導き出すAI解析技術の開発を目指す。

 循環器疾患の早期発見については、家庭で継続的に計測するバイタルデータの変化から将来の疾患発症リスクを解析し、重症化する前に検知するAI技術の開発を進めるという。

 オムロンルスケアは「脳・心血管疾患の発症ゼロ」を循環器疾患事業のビジョンに掲げ、身につけられる「ウェアラブル血圧計」などのデバイス(情報端末)や健康管理サービスを開発。米国や英国、シンガポールでは、家庭で計測したバイタルデータを医療従事者と共有し、治療を支援する「遠隔患者モニタリングシステム」も提供している。

 27日にオンライン会見に臨んだ同社開発統轄本部の浜口剛宏統轄部長は「AIの技術を組み込むことで疾患と生活習慣の関係性を紐解き、服薬治療や生活習慣の改善など、より効率的な診療支援につなげていきたい」と語った。

 共同研究の代表を務める京大大学院医学研究科の奥野恭史教授は「どの順番で(生活習慣を)コントロールすれば個々に最適な血圧改善ができるのかが、この研究の中で分かってくるだろう」との見方を示し、「質の高いデータがしっかり取れるかが、この研究のカギとなる。家庭計測の分野において老舗であるオムロンヘルスケアと組むことで、世界的にも信頼ある研究ができると考えている」と期待を示した。

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