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大阪、翻弄された1カ月 コロナ変異株の猛威読めず…重症者急増で対策後手

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく4都府県への緊急事態宣言の発令が23日、決まった。東京都を上回る数の新規感染者が確認されている大阪府内では、感染第4波の3月中旬から変異株の影響が顕在化。「経験したことがない速度」(府幹部)での感染拡大と重症者の急増に直面し、第3波までの経験を踏まえた対策も後手に回った感が否めない。変異株の実態を早期につかめず、翻弄された1カ月だった。

 14日が「転換点」

 「変異株が従来型と違うことは明らかだ。社会に負担をかけてでも感染拡大を抑制しないといけない」。吉村洋文知事はこの日、対策本部会議に先立ち、改めて記者団にこう述べた。

 府の対応は感染者の急増に伴い「局面が変わった」とされる3月中旬以降、目まぐるしい展開を遂げた。

 3月20日、20~30代の新規感染者数が府の「見張り番指標」で感染拡大の警戒レベルに達すると、府は同31日に「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用を政府に要請。4月5日に重点措置が適用されると、10日には吉村氏が民放番組で緊急事態宣言の必要性に言及した。

 重点措置に移行後も感染拡大に歯止めはかからず、13日以降は1日当たりの新規感染者が連日千人超に。入院中の重症者は確保病床数を上回り続けている。

 何とか回避しようとした宣言を一転、要請する転換点となったのが、14日の対策本部会議だ。直近の新規感染者数に基づく試算で、5月4日には重症者が最大427人に達するとの数字が出た。府幹部は「危機感を相当強め、緊急事態宣言が現実味を帯び始めた」と明かす。

 並行して幹部の一人は4月中旬から吉村氏に、「次の対策は飲食店を中心とした従来の感染源対策とは本質的に異なる。人の流れを止めなくてはいけない」と繰り返し進言していた。

 国の姿勢も変化

 一方、重点措置の効果を見極める時間も必要だった。「私権制限に関わる緊急事態宣言をがむしゃらに要請すべきではない」との慎重論から、重点措置の対策の問題点と宣言要請の目的を明確にしなければならなかった。

 だが、重点措置の効果が出るとされる2週間が経過する直前の18日、過去最多(当時)となる1219人の新規感染者が確認されると、吉村氏は宣言の発令要請を決断。西村康稔(やすとし)経済再生担当相に電話で意向を伝え、翌19日の府の幹部会議でも表明した。

 府は12日ごろから宣言を想定した対策について国と調整を始めていたが、飲食店の感染対策に軸足を置く国からは「重点措置を5日に適用したばかりだ。もう少し効果を見たい」と難色を示されていた。(【変異株で戦略に狂い】緊急事態宣言 政府「短期集中」強調も「延長」に含み)

 しかし18日を境に「営業時間短縮要請だけでは不十分」との見方が広がり、大規模集客施設への休業要請を含む対策の協議が動き始めた。別の幹部は「国も、何かしなければという姿勢に変わった」と振り返る。

 府政関係者は「『もしも』の話をしても仕方ないが、3月中旬に時間を巻き戻せるなら、あのとき緊急事態宣言を要請すべきだった」と唇をかんだ。

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