試乗スケッチ

使い勝手と走り味を突き詰めたトヨタ初のEV レクサス「UX300e」 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 ドキドキするほど鋭いアクセルレスポンス

 脱炭素化の流れは、潮流となってクルマ業界を襲っている。世界が目指すカーボンニュートラルに歩調を合わせるように、各メーカーがEV(電気自動車)をリリースしているのだ。

 レクサスが初のEVである「UX300e」の発売を開始した。2月から順次予約の受け付けをはじめた。レクサス初のEVであり、それはトヨタとしても初めてのEVである。

 「UX300e」に搭載されるリチウムイオンバッテリーは総電力54.4kWh。駆動用モーターの最高出力は150kWであり、300Nmの最大トルクを発生させる。WLTCモードの航続距離は367kmに達する。都会型コンパクトハッチバックのそのキャラクターから、市街地での使い勝手を想定したシティコミューターを想像したものの、想像以上に足が長い。

 しかも、充電能力も優秀であり、50kWの急速充電約80分で、空のバッテリーが満充電になる計算である。サービスエリアの急速充電でも、平均して100Aの勢いで電気を飲み込む。点在する充電ステーションを賢く活用すれば、ロングドライブも苦にならない。都会を闊歩するだけのモデルに留めておくには惜しいEV効率を実現していることには驚かされた。

 しかも、走りが上質である。走り始めて瞬間に得る感動は様々だが、まずは静粛性が驚くほど高い。エンジンという音源がないことに加え、ロードノイズが見事に遮断されているのだ。

 加速は期待以上にパワフルである。アクセルレスポンスはドキドキするほど鋭い。スタートダッシュは、そのモータースペックを超えて鋭いのだ。レスポンスも際立っており、スポーティEVの面影が漂う。パワーフィールは軟弱なスポーツカーを完膚(かんぷ)なきまでに凌駕する。

 それでいて、車両の姿勢が整っている。限界域での挙動はともかく、常識の範疇にとどめた走りをした程度では、不自然に前後にピッチングすることなく、フラットな姿勢をともなって加速する様子は高級モデルらしい立ち居振る舞いである。

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