お金を増やすなら「節約」か「投資」か。
出費を減らせば、貯蓄はダイレクトに増える。「節約」は、家計見直しの王道ステップです。しかし、「細かい節約はやるだけムダ」、「反動で衝動買いしたら意味がない」という意見もあります。
一方「投資」も、「資産を増やす手段」として考える人もいれば、「投資はギャンブル」と否定したり、「お金持ちがするもの」と無関心だったりと、人によって考え方はさまざまです。
では、お金を貯めている人は、「節約」や「投資」をどう捉えているのか。データを追っていくと、そこにはある傾向が見られました。
コロナ禍が長引き、お金の不安もますます広がる今。貯まる人、貯まらない人の考え方をデータで分析し、家計の見直しをどうすべきか探ってみたいと思います。
貯まる人は「節約より投資」
貯まらない人は「貯蓄よりギャンブル」
参照するデータは、2020年に実施した「お金と暮らしに関する調査(※1 概要は本記事末を参照)」。対象とした全国の20歳から64歳までの男女900人の中から、次の定義で「お金が貯まる人」「貯まらない人」を抽出。両者の違いを比較していきます。
- 貯まる人…最近1年間の貯蓄額が100万円以上」(145人)
- 貯まらない人…「最近1年間の貯蓄額が25万円未満、もしくは赤字」(283人)
調査では、「お金を貯めたい、家計を変えたいと思ったとき、重視するのはどのようなことか」を質問。まずは貯まる人が、貯まらない人と比べ、高かった項目のTOP3を見ていきましょう。
最も差がついたのは、「投資を取り入れる」。貯まらない人は9.2%だったのに対し、貯まる人では22.8%と実に倍以上。その差は、13.6ポイントです。
貯まらない人との差が、次に大きいのは、「貯蓄額をチェックする」(12.0ポイントの差)、そして「確実に貯められる方法を探す」(10.5ポイントの差)と続きます。
一方、貯まる人と比べ、貯まらない人が高かった項目は次の通りです。
最も差が開いたのは「節約する」で、貯まらない人では48.8%。貯まる人の42.1%と比べ、6.7ポイント高くなっています。(なお、表中の数値は、「『貯まる人の値』-『貯まらない人の値』」で算出しているため、プラスに高ければ貯まる人で高い項目。マイナスに高ければ、貯まらない人で高い項目ということになります)。
続いて「宝くじやギャンブルで一獲千金を狙う」(4.4ポイントの差)、「収入を上げる」(2.8ポイントの差)と続きます。
ここで気をつけたいのは、「節約する」は、貯まる人も4割以上が支持しており、高い値であるということ。つまり、貯まる人は、節約を否定しているわけではありません。むしろ、「投資を取り入れる(22.8%)」よりも、絶対値で見れば高い値です。
「ギャンブルで一獲千金」についても、貯まらない人が極端に高いわけではなく、そもそも値は1割未満です。「収入を上げる」についても、両者は僅差でした。
ただ、データを全体的に見れば、貯まる人は貯まらない人に比べて、「節約もいいけど投資も重要」と考える傾向があるのは明らか。
貯まらない人は貯まる人に比べると、「投資より節約」と考える傾向が強く、「確実に貯めるより、ギャンブルで一獲千金」を狙う傾向があるのも事実です。
貯まる人は目先の増減より、家計の「体質改善」に向けて動く
それぞれのTOP3の結果を見ると、貯まる人と貯まらない人では、見直しの際に見るポイントが異なることに気づきます。