養育費支払いを拒絶する男性たちの本音
「養育費の支払いを拒絶する男性たち」と聞いて、皆さんはどんな男性をイメージするでしょう。妻子を捨てて他の女に走った男? ドメスティックバイオレンス(DV)を繰り返した結果、妻子に逃げられてしまった男? もちろん、そういう男もいるでしょう。しかし、実際のところはこういう許しがたい男ばかりではないのです。私の事務所に来て涙ながらにこんなことを訴えかけた男性がいます。
妻が男を作って家を出て行きました。子供も連れて。妻は私と子供を会わせようとしません。おそらく子供が私に懐いていることを知っているから会わせたくないのでしょう。裁判所に面会交流を求めたら妻は私にDVを受けていたなどと言い始めました。
もちろん、私はDVなどしていません。裁判所も妻の言い分を信じているわけではなさそうですが、妻が面会交流に激しく抵抗している現状では、どうすることもできないと言っています。
そんな中で、妻は婚姻費用の支払いを求めてきました。私は大手の会社に勤めているので高収入です。裁判所の算定表に従って計算すると、婚姻費用は28万円にもなりました。このまま子供と会えずにただただ毎月28万円も支払い続けなければならないと思うと、悔しくて悔しくて…。あまりの不条理にこみ上げてくる怒りをどこにぶつけて良いかも分かりません。
こんな状況で、それでも私は婚姻費用を支払わなければならないのでしょうか。もし支払わなければならないというなら、私はどんな手段を使ってでもそれを拒否したいと思っています。実際、会社を辞めることも考えています。会社を辞めて無職になりさえすれば婚姻費用を払わずに済むのですから。
この方は、最終的に仕事を辞めてフリーランスになりました。果たして皆さんは、この人のことを「とんでもない男だ」と糾弾できるでしょうか。
少なくとも、私にはできません。不条理に子供と引き離されたままお金だけ払えと言われることは、親として、人としての尊厳を踏みにじられることだとさえ思えます。
考えてみてください。皆さん、ただただ生涯の義務を背負い込むためだけに子供を望み、子供を作ったのですか? 違いますよね。ご自身が幸せになるためでしょう。
離婚した結果、親権を失った親だけが、「親としての義務だけ果たしなさい。子供との関わりを通じた自身の幸福はあきらめて」などと何故(なにゆえ)に言われなければならないのでしょうか。また、そのようなことを上から目線で言える人など、一体どこにいるのでしょうか。