・不幸なことに竈門家全員が死亡したら相続はどうなる?
『鬼滅の刃』では、炭治郎と禰豆子は一命を取り留めますが、この場合の相続を現代に置き換えるとどうなるでしょう?父親・炭十郎はすでに亡くなっていて、母親・葵枝が1/2、6人兄弟それぞれが1/2×1/6=1/12をすでに相続していると仮定しましょう。
母親・葵枝、炭治郎と禰豆子以外の兄弟姉妹は鬼舞辻無惨に惨殺されてしまったわけですが、この場合、誰が先に息を引き取ったかによって相続順位と配分は変わってきます。
母親・葵枝が先に息を引き取った場合は、いったん母親の遺産を兄弟姉妹6人で分配します。さらに、兄弟姉妹が息を引き取る順番で、亡くなった本人が受け取った遺産を兄弟姉妹5人で分配、4人で分配、3人で分配、2人で分配と考え、炭治郎と禰豆子の法定配分が計算されます。
四男、三男、次女、次男、母親の順番で亡くなったとしましょう。法定相続は直系優先のルールがありますので、亡くなった兄弟姉妹の遺産はいったん母親が受け取ることになります。そして、母親が亡くなった時点で、亡くなった兄弟姉妹の遺産を含めた母親の遺産が炭治郎と禰豆子に1/2ずつ分配されます。
もし不幸なことに、炭治郎と禰豆子を含めて母子全員が亡くなってしまったら、どうなるでしょう?母親の親(炭治郎の祖父母)が存命であれば、法定相続人となります。祖父母もすでに他界していて、母親の兄弟姉妹がいれば相続権はそちらへ移ります。母親の兄弟姉妹もすでに亡くなり、その子ども(母から見て甥・姪)がいれば、その子たちが相続人となります。これを「代襲相続」と呼びます。
・もしも炭治郎が結婚して被相続人となったら禰豆子の遺産配分は?
将来、炭治郎が結婚後、万が一、命を落としてしまったら、炭治郎の遺産相続はどうなるのでしょう?炭治郎に子どもがいなければ、炭治郎の配偶者である奥さんが3/4、炭治郎の妹・禰豆子は1/4法定相続分を分配されます。しかし、炭治郎に子どもがいれば、禰豆子に相続権はありません。※『鬼滅の刃』コミックス全巻を既読の方は、仮定の話としてお読みください。
■遺言書は法定相続分より優先されます
『鬼滅の刃』のコミックを既読されている方はご存じでしょうが、日々、命の危険を冒して鬼と戦っている「鬼殺隊」のメンバーは遺書を作成しているそうです。炭治郎にとって禰豆子は愛する大切な妹であり、共に戦ってきた同士でもあるので、炭治郎はきっと自筆証書遺言を書いていることでしょう。
規定通りに書かれた遺言書の内容は、故人の遺志を尊重し、法定相続分より優先されます。当税理士事務所でも、遺された親族・家族が相続で揉めないためには、遺言書の作成をおすすめしています。法定相続人と遺言書について、さらに詳しくお知りになりたい方は、当税理士事務所の法定相続人に関するコラム、遺言書に関するコラムもご一読いただければ幸いです。
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