人が心地よく感じるクルマに進化
これまでのe-POWERは、“EVアレルギー”の残るユーザーへの配慮から、慣れ親しんだ内燃機関車であろうと振る舞っていたように思う。だが新型ノートは宗旨替えし、潔くEVモデル特有の感覚が強調された。
実は新型ノートは、そういった動力性能だけに手が加わったのではなく、ドライバーを誘う感覚にも磨きがかけられた。たとえばドアの開閉でさえ、優しく閉まり確実に閉まるといった丁寧な作り込みが行き届いている。
速度警告や半ドア警告、あるいはウインカーの作動音にもメスが入った。機械としての進化ではなく、人間工学的な角度で開発が進んだように想像する。機械の優秀性だけではなく、人が乗って心地よく感じるクルマに進化したのである。
ちなみに、プロパイロット2.0は搭載されず、基本のプロパイロットのみオプションで選択可能だ。ただし、ナビリンクが加わることで、前方のコーナーに適した速度コントロールを自動でやってのけるなど、高度なプロパイロット2.0に近い制御にもなったことは喜ばしい。
新生日産が上げた狼煙(のろし)である「新型ノート」は、間違いなく日産の先鋒として高い評価を得ることだろう。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。