札幌市の新型コロナウイルス感染は、繁華街ススキノから福祉施設や病院へ広がったとみられている。北海道と同市は7日にススキノの接待を伴う飲食店や酒類提供店に営業時短などを要請したが、すでにその時点で接待飲食店から学校や家庭、職場へと広がる「クラスターの連鎖」(同市保健所)が起きていた。
札幌市の感染者は10月後半から急増し、ススキノの接待飲食店に関係する感染者は若者から30代に拡大した。同市保健所によると、10月に市内で発生したクラスター(感染者集団)は21件で、このうち14件がススキノ地区の接待飲食店だった。
陽性者が確認された接待飲食店は、8月ごろは主に男性客を対象とするガールズバーやキャバクラなどが半数以上を占めていたが、9月になると、女性客向けのホストクラブなどが増加。10月になると、主に中高年が利用するスナックやラウンジ、男女とも利用するバーやパブなど多様な業態に広がる傾向がみられたという。
さらに11月には、医療・介護系施設の職員らの感染が市内で相次いで確認された。「重症化しやすい高齢者らのいる施設や病院へ感染が広がる可能性がある」としていた同市保健所の危機感が現実となった形だ。
同市はススキノで感染が拡大した要因の一つとして、接客中のマスク着用が徹底されていなかったことを挙げている。
同市が接待飲食店の従業員ら計1007人に実施したアンケート(7月23日~8月29日)では、「接客中」にマスク着用を「常にしていた」と回答した人は34%。うち陰性者に限ると35%だったが、陽性者は16%にとどまった。
一方、「更衣室・控室」では全体の50%が常に着用していた。同市の担当者は「接客中は『顔を見せるのが仕事』とあえて着けない人もいた」と話している。