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(187)月経 周期の乱れは病気の入り口

 月経で相当な苦労をしている女性もいます。月経は通常28日前後の周期で訪れます。女性は特有のホルモンバランスのおかげで、閉経までは男性より動脈硬化が進みにくいと言えます。一方でバランスが崩れていると、いろいろな病気になりやすくもなります。

 糖尿病が心配だという40代後半の女性が受診されました。以前に健診で少し血糖値が高いと言われたのですが、放置していたようです。血液検査で血糖値の指標「ヘモグロビンA1c」が8%を超えており、糖尿病がかなり悪くなっていました。体重は多めだったそうですが、肥満というほどではなく、糖尿病の家系でもないそうです。ただ、長らく喫煙していたのと、月経周期が不安定で長いことが多かったと教えてくれました。

 月経周期が長い人や不安定な人は糖尿病や心血管病、卵巣がんなどになりやすいことが、これまでの研究で報告されています。最近の研究では寿命にも関係する可能性が指摘されています。これは約8万人の心血管病や糖尿病、がんの既往のない米国人看護師を対象に、14~17歳、18~22歳、29~46歳のときの月経周期を申告してもらい、その後70歳までの死亡率の差を観察したものです。結果は24年の経過観察で、14~17歳、18~22歳、29~46歳のとき、常に月経周期が不安定だった人は、正常周期の人に比べて死亡率がそれぞれ18%、37%、39%高くなっていました。同様に18~22歳、29~46歳で月経周期が40日以上という人では、それぞれ34%、40%死亡率が高くなっています。死因で最も多いのは心血管病で、喫煙者では死亡率が若干高くなっていました。

 月経周期が長い人や不規則な人は血糖値を下げるホルモンのインスリンの効きが悪くなることが知られています。こうしたホルモンバランスの乱れが卵巣がんや糖尿病、心血管病の原因になると考えられています。心血管病死が多いなら防ぐ手立てはありそうです。肥満や糖尿病、高血圧などが起こらないように若いうちから注意し、見つけたら治療を受けることが大切です。喫煙は絶対に避けるべきです。この女性患者さんもすぐ禁煙し、治療を続けています。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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