一方、貯まらない人の家はというと、これが真逆で驚くほど物が多い。玄関には靴と傘があふれ、冷蔵庫はパンパン。賞味期限切れの食材がごろごろ出てきたり、同じ引き出しからハサミが何本も出てきたりします。
年齢や家族構成に関係なく、また全国どこに行っても、この傾向は驚くほど同じです。
そして、特筆すべきは、貯まる人はもともと部屋が整理されていたわけではない、ということです。もちろん、小さい頃から片付けが好きだったという人もいないわけではありませんが、「元・汚部屋」の住人だった人のほうが多数。
むしろ、余計なものに囲まれていたからこそ、片づけをきっかけに自分のお金のムダに気づけ、そこから家計を劇的に改善できたというケースが非常に多いのです。
物が多いと、あらゆるムダが連鎖する生活に
食材でも服でもなんでも、物が多いと、自分が何を持っているのか把握しきれなくなります。すると、買い足しが必要なものが分からず、家にまだ在庫がある食材を買うミスが増えたり、いつも似たような服ばかり選んでタンスの肥やしを作る結果に。
物が多い部屋では欲しいものもすぐに取り出せず、ストレスも蓄積します。散らかった部屋ではくつろげず、外食や外出が増え、外で使うお金も増加。ムダが連鎖するのです。そもそも、物が多いということは、それだけお金を使っているという証でもあります。
貯まる人の家に、物が少ないのは「生活に必要なもの」をよく見極めているから。身の回りを必要なものに絞り込むことによって、買い足すべきものも明確になるので、余計な出費が減るのは当然といえば当然です。
さらに、スッキリと片付いた空間は「想像以上に気持ちがいい」ので、新しく物を買う際も、「この快適さを失っても欲しいか」と慎重になると言います。結果、本当に必要かどうかを落ち着いて吟味でき、どんどんムダな出費をしない生活になっていくのです。
貯まらない人は、「夜ふかし」である
では次に、貯まらない人に特徴的な行動習慣にはどんなものがあるかもチェックしてみましょう。
『貯蓄L・N(年25万円未満)』の層で、全体平均との差が大きかったもので、データを並び替えてみました。すると、トップにきたのは「夜ふかししがちだ」(+9.2%)。これは、『貯蓄L・N』の中でもダントツに高い行動です。さらに『貯蓄M』や『貯蓄H』を見ると、平均より低い結果。つまり、貯蓄が高い層では夜ふかしを「していない」傾向があるということです。
「夜ふかし」以外の行動については、さほど大きな差がありません。これらのことから、「夜ふかし」は貯まらない人における特徴的な行動習慣であるといえるでしょう。
早く寝れば、ムダをまとめて消せる
夜、遅くまで起きていれば、それだけ光熱費がかかります。1日の疲れをいやすために、多少はゴロゴロする時間も必要かもしれませんが、起きていれば小腹も減るので、酒やつまみ、夜食代がかさむことにも。翌朝寝坊して慌てて家を出れば、朝食も外で済ませたり、忘れ物をして間に合わせを買ったりと、余計なムダも生まれます。
1日で見れば大した金額ではなくても、習慣化すれば月に何万円、年に何十万円という出費に。睡眠不足で体調を崩せば、医療費もかかってしまうでしょう。
こうした出費は嗜好品ではないため、“ムダ遣いをしている”という意識を持ちにくいのが厄介です。気がつくと、「そんなにぜいたくをしているつもりはないのに、なぜかお金がない」状態を招いてしまいます。
早く寝れば、そうしたムダをまとめてカットできるのがメリットです。しっかり睡眠を確保すれば、翌日も朝からテキパキと動け、時間に追われずにすみます。
実際にデータでも、『貯蓄H』には「早起きしている」「予定をこまめに確認している」といった行動習慣が高くあらわれています。早寝早起きで自身のコンディションを整え、時間にゆとりを保つ。予定を確認して、効率のよい1日を意識する。こうした行動が貯まる人の特徴といえ、結果的に余計な出費を出さない生活につながっているのです。