新時代のマネー戦略

親自身で賄えるか 知っておきたい介護施設の費用 (3/3ページ)

岡本典子
岡本典子

 近年は前払金ナシで、家賃を毎月支払うタイプの施設が増えていますが、中には、月額費用が50万円を超えるような高額な施設もあります。支払い方式や複数の支払い方式から選択可能かなどを確認します。一般的に、高額施設では、介護に当たる職員数が多く配置されているため手厚い介護が受けられる、夜間も看護師常駐で医療ケアにも対応可能、食事に力を入れている、設備が充実していて高級感があるというようなところが多くなっています。

 実際は金額だけでなく、立地やイベントの充実度、雰囲気など、多方面からの検討が必要です。必ず見学して確認しましょう。

 有料老人ホームの棟数で一番多いのは、介護は別途契約して訪問介護などを利用する「住宅型有料老人ホーム」です。施設独自の介護サービスを用意している住宅型も増えていますが、重介護になった時の対応や費用の確認は欠かせません。また、少数ですが、自立時に入居し、介護が必要になると退去となる「健康型有料老人ホーム」もあります。

 認知症の場合は、グループホームも選択肢となる

 親御さんが認知症の場合は、少人数でアットホームな施設のほうが落ち着いて生活ができることから「グループホーム」も選択肢となります。要支援2以上で、身の回りのことができる認知症の人が5~9人で、職員も含め家族のように暮らせる介護施設です。費用は入居時に数万円~数十万円、月額費用は十数万円~20万円です。グループホームの場合は、親御さんの居住地域限定で探すことになります。

 親の資金を把握し、施設入居のサポートにも備える

 主な介護施設の概要と費用に関して、大まかに見てきました。「親の介護は親の資金で賄う」が基本です。皆さんは親御さんの年金額や貯蓄額、保険金額などをご存じですか。なかなか聞きにくいものです。しかし、急に入院し、その後介護が必要になるかもしれません。

 親御さんが元気なうちに、ぜひ機会を作り、介護が必要になったらどこで暮らしたいか、資金面は大丈夫なのか、などを話し合っておかれることが大切です。その合意が取れていれば、親御さんの気持ちに沿ったサポート法が見えてきます。予備知識の習得と親の経済状況の把握という「はじめの一歩」を踏み出してください。

岡本典子(おかもと・のりこ)
岡本典子(おかもと・のりこ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
FPリフレッシュ代表。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、東京、神奈川を中心に230カ所以上を訪問。シニアライフを安心・安全・安寧に過ごせる「終のすみか」を探される方の住み替えコンサルティングに力を注いでいる。セミナー講師や講演をおこなうほか、執筆、監修、新聞や雑誌の取材に応じている。著書に『後悔しない 高齢者施設・住宅の選び方』(日本実業出版社)がある。

【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら

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