「介護費用はいくら必要か」。皆さんが一番知りたいと思われる確実な金額は、残念ながら提示できないのが現実です。身体状況や家族の介護力により、どのような介護生活をどの位の期間受けることになるかという前提条件が、各々異なるからです。たとえば、「要支援1~要介護1相当の軽介護状態で半年くらいの場合」と、「要介護4.5相当の重介護状態で10年以上に及ぶ場合」では、介護費用に大きな開きがあります。また、介護施設にお世話になるにしても、施設により費用は大きく異なるため、「施設に入るには、いくらあれば大丈夫」とは言い難いのです。
なお、要介護度は、親御さんの居住地の役所に「要介護認定」の申請することで、約30日後に決定通知が届きます。7段階に分かれていますが、それぞれの身体状態の目安は、下記のようになっています。(要介護度と要介護認定については、前回の記事もご参照ください。)
介護費用「平均500万円」というデータもあるが
公益財団法人生命保険文化センターの「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」を見ていきます。2人以上世帯を対象とした調査において、介護を行った期間は平均54.5カ月(4年6カ月半)、介護に要した費用は、住宅改修や介護ベッドの購入などの一時費用が平均69万円、月額費用が平均7.8万円。さらに、介護を行った場所別介護費用(月額)が在宅では4.6万円、施設では11.8万円と別建で出ています。これら平均月額で、介護にかかった費用の平均年額を計算すると494.1万円となり、親の介護費用の平均額は約500万円ということになります。
【調査にもとづく介護費用の平均】
- 住宅改修や介護ベッドの購入などの一時費用 69万円
- 月額費用 7.8万円
- 場所別の介護費用(月額) 在宅4.6万円/施設11.8万円
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- ⇒ 介護費用の総額 69万+(7.8万×※54.5カ月)=494.1万円
※介護を行った期間の平均=54.5カ月(4年6カ月半)
(平成30年度生命保険に関する全国実態調査をもとに作成)
では、皆さんのような働き盛りの30代、40代の方が急遽、親御さんの介護に当たられることになったら、いかがでしょう。在宅介護を続けていくには、介護休業制度や介護休暇制度をフル活用(前回記事)しても、重介護になると、公的介護保険サービスだけでは十分ではないケースが出てきます。
場合によっては介護施設を利用することもあるでしょう。介護施設では、介護費用の他に、居住費(家賃など)や食費も必要です。この他、自宅にいるときと同様に、個別の日用品代、医療費もかかります。利用期間にもよりますが、施設で暮らすには、500万円では足りないと考えておかなければなりません。
ここからは、施設の概要と施設で介護を受ける場合の大まかな費用を見ていきます。