気象庁によると、お盆期間の西日本は高気圧に覆われ、各地で連日の猛暑が予想されている。発熱や倦怠(けんたい)感、頭痛など、熱中症と新型コロナウイルスの初期症状は似ており、救急の現場では、両面を念頭に入れた対応が求められる。
5月1日~今月6日に計412人を熱中症の疑いで救急搬送した大阪市消防局。119番を受けた際は最低限の症状を短時間で聴取した上で、到着時に詳細を聞き取り、発熱でも悪寒がなかったり、屋外にいた時間が長かったりした場合は熱中症の可能性が高いとして、体を冷やすなどの応急処置をするという。
PCR検査を受けているなどコロナが疑われる場合は医療用のN95マスクを着用することもあるが、通常は感染防護服、手袋、ゴーグル、マスクの標準装備で出動。救急隊員は熱中症かコロナかを判断せず、状態によって受け入れ可能な一般の病院に搬送し、搬送先の医師がコロナと判断すれば、コロナ専用病床のある病院に転送される。市消防局は「マスクをつけるとのどの渇きを感じにくい。例年以上に意識してこまめに水分補給をすることが重要だ」と呼びかけている。
夏山の遭難対応も課題が多い。毎夏、南部の大峯山や吉野川を中心に山岳遭難や水難事故が発生し、昨年7~8月には計26人が事故に遭った奈良県は、険しい山奥で遭難者が出た場合などは県警や県の防災ヘリが出動している。
「ヘリから降下する際、マスクが外れてエンジンに吸い込まれると、事故が起きる可能性がある」と県防災航空隊の担当者。降下後も状況次第ではマスクや手袋を着けての活動が難しい場合もあり、「人命優先なので仕方がない部分もある。できる限り安全に配慮しながらやるしかない」と話している。